災害時に必要な応急手当の知識は、負傷した人を迅速に助けるために非常に重要です。
緊急時には医療機関がすぐに利用できない場合もあるため、適切な応急手当を施すことで命を守ることができます。
以下に、災害時に役立つ具体的な応急手当の知識をまとめました。
1. 止血の方法
- 直接圧迫法: 出血している箇所に清潔なガーゼや布を当て、手で強く押さえて止血します。
圧迫することで血流を抑え、出血を止める基本的な方法です。 - 止血帯の使用: 大量出血の場合は、出血部位の上側(心臓側)に止血帯(紐や布など)を巻いて血流を止めます。
ただし、緊急時以外には使用を避け、短時間で医療機関に連れて行く必要があります。 - 出血箇所を高くする: 傷口を心臓より高く上げて、血液の流れを抑制する方法も有効です。
2. 骨折・捻挫の対応
- 固定する: 骨折や捻挫の場合、応急的に患部を固定する必要があります。
板や棒、新聞紙を使って患部を動かさないようにします。
特に、関節の両端をしっかりと固定することが重要です。 - 冷やす: 捻挫や打撲の際は、患部を冷やして腫れや痛みを和らげます。
氷や冷たい水で冷やすと良いですが、直接肌に当てるのではなく、タオルなどで包んで冷やします。
3. 心肺蘇生法(CPR)
- 呼吸停止時の対処: 呼吸や脈拍がない場合には、心肺蘇生法を実施します。
胸部を強く、早く圧迫(1分間に100~120回のペース)し、人工呼吸を併用します。
特に、AED(自動体外式除細動器)がある場合には、使用方法を確認し、速やかに使用します。 - 気道確保: 人が倒れて意識がない場合、まず気道を確保します。
頭を後ろに反らせ、下あごを上に引き上げて気道を開きます。
4. 熱傷(やけど)の処置
- 流水で冷やす: やけどを負った場合は、まず患部を流水で15~20分冷やします。
氷で直接冷やすことは避け、冷水で優しく冷やすことが大切です。 - 清潔な布で覆う: やけどの部分に触れず、清潔なガーゼや布で軽く覆って保護します。
水ぶくれを破ってはいけません。 - 応急処置後は病院へ: 応急処置をした後でも、やけどがひどい場合は速やかに病院での治療が必要です。
5. 窒息時の対処法(ハイムリッヒ法)
- 背中を叩く: 食べ物や異物が喉に詰まった場合、まずは背中を強く叩いて異物を取り除こうとします。
肩甲骨の間を手のひらの根元で5回強く叩きます。 - 腹部圧迫法(ハイムリッヒ法): それでも異物が取れない場合は、患者の背後に回り、片方の手を拳にして患者のへそあたりに当て、もう一方の手で拳を握りながら急激に上向きに押し上げます。これによって異物を取り除くことができます。
6. 熱中症の対処
- 涼しい場所へ移動: 熱中症の症状(めまい、吐き気、発汗異常など)が現れた場合、まずは涼しい場所に移動させます。
- 水分補給: 少量ずつの水分を、できれば塩分や糖分を含む飲料(経口補水液やスポーツドリンクなど)を与えて水分補給します。
- 体を冷やす: 衣服を緩め、首や脇、脚の付け根などを冷やして体温を下げます。
意識がない場合や水分が取れない場合は、速やかに医療機関に搬送する必要があります。
7. ショック状態の対応
- 体を横にして足を上げる: ショック状態(出血や脱水による意識低下や虚脱)になっている場合、患者を横にして足を少し上げます。
これは血流を確保するための基本的な対処法です。 - 毛布で保温: ショック状態にある人は体温が下がりやすいため、毛布などで保温を行います。
- 気道確保: 気道を確保し、必要に応じて人工呼吸を行います。
状態が悪化する前に速やかに救助を要請します。
8. 火傷や化学薬品によるケガの応急処置
- 化学薬品が目や皮膚に付着した場合: まず、流水で最低15分以上洗い流します。
目の場合は、目を開けた状態で優しく水を流し続け、すぐに医師の診察を受けます。 - 呼吸が困難な場合: 有毒ガスや煙を吸った場合、まずは速やかに新鮮な空気のある場所へ移動させます。
呼吸が止まったり、意識を失った場合は、心肺蘇生法を実施し、救急車を呼びます。
9. 頭部外傷の処置
- 冷やす: 頭を強打した場合、打撲が軽度であれば冷やして腫れを抑えます。
ただし、意識を失ったり、吐き気やめまいがある場合は、すぐに医師の診察が必要です。 - 動かさない: 頭部外傷を負った場合、むやみに動かさないことが重要です。
脳震盪や脳内出血の可能性もあるため、しばらく安静にして様子を見ます。
10. 応急手当の準備と教育
- 応急手当キットの準備: 災害時に備えて、ガーゼ、包帯、消毒液、テープ、ハサミ、ピンセット、救急ブランケットなどが入った応急手当キットを準備しておきます。
- 応急手当の訓練: 地域や職場の防災訓練に参加し、応急手当の基本技術を学びます。
特に心肺蘇生やAEDの使い方は、実際に体験することでスムーズに対応できるようになります。
これらの応急手当の知識を身につけ、訓練を受けておくことで、災害時に適切な対応ができ、被害を最小限に抑えることができます。
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