年金の繰り下げ受給は、通常の受給開始年齢(65歳)よりも後に年金を受け取り始める選択肢です。
これには長期的な利点がある一方で、注意すべき点もあります。
以下に、メリットと注意点をまとめます。
年金の繰り下げ受給のメリット
- 受給額の増額: 繰り下げ受給を選択すると、受給額が増えます。
1か月ごとに0.7%増額され、最大で75歳まで繰り下げた場合、年間受給額は42%増加します。
この増額は一生続くため、長生きすればするほど総受給額が増えるメリットがあります。 - 生活資金の安定性: 年金の受給額が増えることで、老後の生活資金が安定し、長寿リスク(長生きすることによる生活資金不足)への対応力が高まります。
長期的に見て、生活水準を維持しやすくなる可能性があります。 - 長期的な資金計画に有利: 他の収入源がある場合や、現役時代の貯蓄が十分であれば、繰り下げを選択することで、後年に高額な年金を受け取ることができ、将来の資金計画にゆとりが生まれます。
年金の繰り下げ受給の注意点
- 受給開始が遅れる: 繰り下げを選択すると、その期間は年金を受け取れません。
年金を受け取り始めるまでの生活資金を別途用意しておく必要があります。
特に、健康状態が悪化するリスクや、予期せぬ出費が発生する場合に備えて、十分な資金計画が必要です。 - 短命の場合、損をする可能性: 繰り下げによって受給額が増加する一方で、寿命が予想よりも短い場合、総受給額が少なくなってしまうリスクがあります。
どの時点で受け取りを開始するのが最適かを予測するのは難しいため、健康状態や家族の寿命を考慮した上で判断する必要があります。 - 税金や社会保険への影響: 繰り下げによって年金受給額が増えることで、所得税や住民税、または健康保険料が上がる可能性があります。
所得が増えることによる税制上の影響も考慮すべきです。 - 一度決めると変更不可: 繰り下げ受給を一度選ぶと、その後に受給開始時期を早めることはできません。
最初の判断が将来にわたる受給額に大きく影響するため、慎重に選ぶ必要があります。
判断のポイント
繰り下げ受給は、長生きをする場合に有利な選択肢です。
ただし、生活資金の準備や、健康状態、寿命の見込み、将来の生活費などを総合的に検討して決める必要があります。
短期的な収入と長期的な受給額のバランスを考え、自身にとって最適なタイミングを見極めることが重要です。
なお、年金の繰り上げ受給については「年金の繰り上げ受給のメリットと注意点」、年金の受給のベストタイミングについては「年金受給にはベストタイミングがある?後悔しないための基礎知識」をご覧ください。
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